「川西勝久のひとりごと」のバックナンバーです |
2004.作成
謹賀新年 (2004.1.1)
輝かしい新春を迎え、皆様のご清福をお祈り申し上げます。
昨年は、子が親を殺し、親が子を殺すなど、考えられない事件が多発。又、少年による凶悪犯罪も益々低年齢化して来ました。方や、農作物の盗難も続発し、「米泥棒」が流行語になるほどひどい年でした。この国の教育のあり方、家庭のあり方、人間としてのあり方が今ほど大きく問われる時はありません。このままでは日本という国はどうなってしまうのか大きな不安を抱くものです。こんな日本にあって、今こそ米を扱う者として、食を通じて少しでも現状の打破に貢献出来る年にしたいと思います。一家団欒の大切さを求めて、「一日一食は家族そろってしましょう」キャンペーンを推進する決意をしました。毎月三千部発行しています「米ふれんど」や耕心塾を通じて一歩一歩、家庭団欒運動を実行して行きます。そして、今年は甲申(きのえさる)歳。甲は植物の芽生えを言い、申は伸で伸びる、伸ばすであり、伸張発展が期待できます。この「ひとりごと」も毎週更新できるよう一生懸命学び、働き、喜び多い一年にしたいものです。どうぞ、皆様のご声援をお願い申し上げ新年のご挨拶と致します。
鳥インフルエンザから思うこと(2004,2,9)
鳥インフルエンザの猛威が拡大している。そのため、日本で消費される60%の鶏肉の輸入が中止されている。昨年は、BSE(牛海綿状脳症)で牛肉が食べれなくなり、今回の鳥インフルエンザである。牛肉も鶏肉も日本人の食生活には今や欠くことのできない食料である。現在もアメリカの経済が冷え込むと、日本の経済も直ぐに風邪を引くといわれるほど日本の経済は軟弱で独り立ちできないでいるが、食糧に至っても同様で世界中に依存して成り立っている。我が国の食糧自給率は、米を含めて40%に満たないお粗末さである。米以外の食糧の自給率はおそらく25%前後ではないだろうか。今、日本人が食べたいときに食べたい物を食べ、贅沢の限りを尽くしている現実の裏には、食に対する価値観の喪失があり、営々と続いた食への感謝やありがたみ等を忘れ、食べ物はあって当り前になった事である。ときに、イラクへの自衛隊の派遣は違憲であるとか、アメリカに追随し戦争に行くのはおかしいとか言っているが、日本は世界からの恩恵をこうむり国民が何の犠牲もなくぬくぬく生活できていることを知らなければならない。要するに、食糧の60%は世界に依存しなければ生きていけないのが日本の現実なのだ。「食べ物」の語源は「賜り物」からといわれるが、こうした機会にもう一度食に対す価値観を改め、食べ物を天からの賜り物として、その恩恵に感謝し粗末にしない食生活のあり方を心がけたい。
恥ずかしい牛丼騒動(2004,2,16)
BSE発生による米国産牛肉の輸入禁止から、外食産業の牛丼販売が休止された。テレビでは最大手「吉野家」の牛丼販売の休止を伝え、涙声で挨拶する店長の姿が映し出された。同時に食べおさめだといって列をなし、牛丼に群がりほうばる客の姿が映ったが、なぜか滑稽で空しさを感じた。現在のように、満ち足りた日本の食情からすると、これほどまでに吉野家の牛丼が食べられない事が悲しい事なのか、現代人の生き方、心の貧しさに疑問を持つ。着たい物を着、食べたい物が食べられる現在の日本。本当に豊かな日本だが、心根は非常に貧しいものになってしまった。衣食足って礼節を知らない現代の日本人。真の心の豊かさあり方に、そろそろ気持ちを向けなければならない時であると実感する。今日(2月16日)の産経新聞の「正論」でも同様のことが載っていた。「正論通らぬ社会の疲弊を憂える。取り戻そう日本伝来の良き規律」のタイトルで、著者は「日本人の思考基準が狂ってきた」そして、日本固有の「恥の文化」の喪失を挙げ「規律と礼儀を重んじる日本人の良さ」を取り戻そうと訴えている。まさにその通りである。吉野家の牛丼騒動を見て、日本の豊かさの裏には、良き日本文化、日本人気質が失われ消えていくのを強く感じました。
写真・・・・・販売休止で牛丼の看板を降ろす店長
卒業式と礼(2004.3.1)
間もなく卒業式シーズンとなる。卒業をする者にあっては、小学生であれ中学生であれ、一つの大切な区切りというか大切な節である。緊張感ある厳粛な式典というものを身をもって体感することが、将来日常生活を営む上で大切な事であると思う。心がこもり、形の整った式典には必ず大きな感動が起こり感激も一入である。これが人格形成のうえで、大きな確かな節となって精神的にもたくましい人間を創り上げていく物と確信している。しかし、現代の卒業式などは、儀礼的なものとなり、教師のあさましい平和理念、平等観念からなり、式典のもつ意義や重要性は感知していない。大切な式典を、国家を歌う歌わないでもめ、国家斉唱のため起立を求められても座ったまま。子供たちにとっては何と淋しい卒業式ではないか。将来を担うべく子供たちの、人生基盤を築く上での重要な節節を、教師はじめ大人たちは真剣に考えない現行社会に危機を感じる。
過日の耕心塾四周年記念講演には「礼と日常生活」と題し、論語普及会学監、伊與田覺先生の講話を拝聴しました。日常にあって「礼」というもの、「礼」によって生きるあり方の重要性、大切さを説かれたのですが、「礼」を軽視したところの弊害が随所に現れてきている現代社会の問題が浮き彫りにされました。親を殺し子を殺す。通りがかりで刃物で刺したり金づちで殴る。先生は校長を恐喝し万引きもする。政治家は国から金を騙し取り、会社は詐欺行為を繰り返す、この狂気の沙汰はもう救えないのだろうか。礼式にのっとった卒業式。節目節目を大切にした生き方。礼と言う事をもう一度考え、実践する社会に戻すべきである。
写真・・・・・耕心塾四周年記念講演される伊與田先生(04.02.20)
さぬき米を日本一にしたい「さぬき米夢クラブ」発足(2004.3.15)
昨年の10月から準備してきた、さぬき米を販売する会が発足し(会長は私)、本格的な活動がスタートした。会の名前は「さぬき米夢クラブ」を通称名とし、正式名は、「さぬき米普及推進委員会」と名付けられた。活動は、通称名の「さぬき米夢クラブ」を前面に押し出して、おいしい米づくりに挑戦していくことになった。讃岐の米に期待と夢を乗せて、讃岐うどん同様、米についてもメジャーにする事がこの会の目的である。夢クラブ会員は、京都、大阪、兵庫の有力米穀業者11社で結成し、さぬき米5kg・10kg入りを統一米袋で販売開始した。今後の活動は、産地と消費地の交流を大いに促進させて行きたい。消費者には、米づくりを初めとする農業現場を通じて、食糧の大切さや、農業の大変さを見てもらい、生産者には、消費地にあって、どのような米が好まれているのか、消費者のニーズも知ってもらえる活動にしたい。又、温もりのある人的交流が出来るように全力で取り組んでいきたい。そして、生産者・消費者が一体となって、香川県産米の質的向上と知名度アップに繋がる様努力したいと思う。JA香川県でも、16年産に向けて、県産米の品質向上対策や、おいしい米づくり研修会が開かれ、今年の米づくりが本格的にスタートする。良い米が出来るように大いに期待し、協力もしていきたいと思っています。ご期待ください。
写真・・・・・2月15日新発売した「さぬき米」
気分を変えて再出発(2004.4.17)
「ひとりごと」の更新が一月以上出来ないでいる。この間、国内外でのいろいろな出来事があったが、楽しく嬉しいいニュースはなかなか見つかりません。いつも腹立たしい出来事ばかりで、いったい日本はどうなってしまうのか大きな不安が襲いかかる。せめて、この「ひとりごと」くらいは楽しいコラム?にしたいと願うあまり、どうしても書けない状態が続いてしまう。楽しいネタが出てこないのであります。一年の中でも一番爽快な春本番であり、みごとに咲いた桜の花も、大変美しかったし、庭に散在する草花も色とりどりの美しい花を咲かせ、事務所から眺める飯盛山も、若葉の成長に合わせて日増しに膨らんで来る。そんな絶好な好季節ではあるが、何か釈然としないのは何故なんだろう。しかし、こんな事ばかり嘆いていても始まりません。気分を変えて、視点も変えて、今、思っていることを書いて行こうと思っています。気長にお付き合いください。今朝、幸福の木に初めて花が咲きました。私も始めて見るもので、珍しいので写真に撮りました。
写真・・・・・幸福の木の花
なぜ教えないのか(2004,4,26)
最近特に、中・高校生の服装や毛染めなど、乱れ方が気にかかる。昨日は、交差点で信号待ちをしていると、対面側で二人の高校生が堂々とタバコを吸い始めた。周りには信号待ちをしている大人たちがいたが、気にする様子も無い。昔も喫煙する者はいたが、周りの大人の目を気にして人前では吸わなかった様に思う。吸う事には変わりは無いが、親や、大人から叱られるのが怖い、学校での停学などの処分を恐れたり、親に迷惑をかけてはいけないと、本能的に感じて行動していたように思う。ところが最近ではどうだろう。これが高校生かと思われるような子供が多くなった。現在の学校は校則はないのだろうか、女子生徒の多くは毛染めをして化粧もしている。耳にはピアスをしている。男子生徒は、上着の下のシャッは外に出し、ダボダボのズボンは引きずるくらいに下げて履いている。この様な子供たちを見ると、親も学校も、何も言わないのか、なぜ教えないのかと疑問に思う。すべての親たちは、生まれたばかりの子供に将来を期待したはずなのに、時間と共に忘れてしまうのか、不思議でならない。今の子供たちが次社会を担う時、なすすべが分らず人生に失望させないためにも、教えるべきことはきっちりと教えないといけない。
真の教育を取り戻さないと(2004,5,10)
今、日本社会がおかしくなって来ている。来ていると言うより、むしろおかしくなった。考えられない様な事件・事故が多すぎて、枚挙に暇がない。親が我が子を殺す。政治家は、国の金を騙し取る。街中は、他人の事より携帯電話ににらめっこ。家庭も、家族もバラバラ、一家団欒と言う言葉すら忘れ去られた。男女共同参画社会の概念を悪用?する、ジェンダーフリー(性差否定)の横行。髪は色染めされて、娘さんなのか、母親なのか分らない。善し悪しは別にしても、何かが狂っていると思えてならない。特に、教育が狂ってしまった。家庭教育。父親は、人としての義務や責任感を教え、母親は、愛や不正を許さない清らかさの大切さを、身をもって教えなければならない筈である。学校は、教科知識は当然、深い教養を身に付けさせなくてはならない。双方、教えなければならない事は山ほどある筈である。ところが、親も学校も何も教えない(教えなくても良い事はよく教えている)。そんな中、今年から、先生の通信簿制度(教職員の評価・育成システム)が府下でスタートする。教員の教科指導や生活指導などを観て、校長がその達成度や、教員の能力を、5段階評価するものである。生徒の成績に関して評価・育成する立場の先生が、校長から業績の通信簿を付けて貰わなければならないほど学校も堕落してしまった。子供の育成システムよりも、先生の育成システムを考えなければ成らないほど学校は無意味な物となってしまった。それにつけても、校長も教職員の能力評価が出来るほどの力量は有るのか。これまた疑問である。制度改革も必要かも知れないが、安易な改革より、本来の家庭や、学校のあるべき姿を今一度思い起し、本当の教育を復活させなくてはならないと思う。
生産地(香川県)との意見交換会(2004,6,7)
昨年10月、関西でさぬき米の販売拡充をしようと結成した「さぬき米夢クラブ(11社)」が、初めて産地研修をおこない、香川県に行ってきました。参加したのは9社の代表者で、2日間の日程を精力的に走り回り充実した研修会となりました。視察先は、仲多度郡仲南町、と財田町で、16年産の生育状態を視察、米作りの特徴及び取り組みについて、生産者や農協関係者から説明を聞くことが出来た。2日目は香川県の農政関係者、JA香川県、および各地の農協関係者と意見交換をおこない、香川県の農業に対する考え方を知ることが出来た。また、研修会と生産者との交流から、香川県の米作りに対する意気込みや、多くの人にさぬき米を食べてもらいたいという情熱がひしひしと伝わってきました。今後の取り組みは、9月の収穫を控え、16年産新米キャンペーンを企画し、安全でおいしいさぬき米をアピールしていきたいと思います。これからのさぬき米夢クラブの活動にご期待ください。
写真・・・・・県農協関係者との意見交換会(サンポート高松)
16年産順調に生育(2004,7,15)
関西も梅雨明け宣言がでた。平年より1週間、昨年に比べると3週間も早いらしい。大阪では連日30℃を超える猛暑であり、外で仕事をする私たちにはきつい毎日だ。しかし、米の生育にはこの暑さは必要である。昨年は冷夏となり不作の年となったが、今年は各地とも順調で、このまま行けば豊作が期待できそうです。鹿児島県種子島町では、早期米コシヒカリが収穫され、14日に関西など消費地に向けて出荷されました。私の会社では、8月初旬より、徳島産のハナエチゼンから新米の販売をしたいと企画中です。(毎年、九州の早期米新米は、品質的に不安定の為取り扱いません。)間もなく、学校は夏休みに入ります。家庭での米消費量が激減していますが、どうか子供たちには、規則正しい食事を心がけていただき、おいしいご飯を腹いっぱい食べてほしいと願います。各地の豊作を祈り、美味しい新米をお届けできる日を楽しみにお待ちください。
写真・・・・・立派に実ったハナエチゼン、収穫は7月24〜5日位。8月初めには皆さんにお届けできます。(徳島県海部郡海南町7月12日撮影)
早起で夏バテ防止の生活改善(2004,7,28)
各地で連日35度を超える酷暑にみまわれている今夏、クーラーは24時間轟々とうなりを上げて動きっぱなしです。したがって、身体は暑さで壊れ、冷房で壊れ、なんとなくだるくて元気が出ません。何とか改善をしないと本当に夏バテしそうな感で、良い方法はないかと思案していましたが、寝苦しいのを我慢して寝る事はない、目がさめたら起きてしまえ。と気がつき、最近は4時半頃に起床しています。6時ごろまでは読書。6時過ぎから1時間は近くの深北緑地へ散歩に行きます。早朝の散歩をする人は多いですね。また、ジョギングをしている人、太極拳をする人、ラジオ体操をする人、それぞれが朝を楽しんでいます。早起きは三文のコと言いますが本当です。第一に気分が良い、朝ご飯が旨い。したがって、一日が充実してきました。最近までは、仕事12時間と睡眠7時間で19時間。残り5時間で3食の時間とテレビを見たり風呂に入ったりするだけでほとんど余裕は無く、本はおろか新聞すら読めない毎日でした。当然、夜の会合やお付き合いもあり、少々イライラが出始めていました。忙しいのは仕方ないのですが、自分を見つめなおす、一日を振り返ったり、明日の事をも考える時間が無かったのですが、早起きを決行するようになり、一日の時間配分が良くなり、充実して来たと言うことです。このまま行けば、この夏は快適に過ごせそうで、楽しみも増えた。そんな気分です。
写真・・・・・早朝の深北緑地
一年間ありがとうございました(2004,12,27)
今年も残すところあと五日。月日の経つのがこれほど早く感じた年はありませんでした。内外共に話題の尽きない一年であったように思います。私の業界「米」関係から言えば、今年は「国際コメ年」であり、各国各地で様々な関連事業が開催されたと聞いています。米は、日本固有の食料ではなく、世界30億もの人々が毎日食する重要な食料であります。今、世界では米の持つ栄養価を初め、特質が高く評価される時代になっています。反面、日本は米を中心とした食形態を放棄し、日本食の有する食文化をも軽視しています。これらのことが将来の日本に於てどのような形で影響するのかは分りませんが、少なくとも現在のような殺伐とした社会にある原因の一つには、日本のよき伝統や食情、食文化の崩壊からきたす問題も多いと思います。今年は特に親子間の殺人事件や、悪辣非道な凶悪犯罪が多発しました。これも、一家揃っての、団欒の機会を逃している現行の食情にあると思います。個人を尊重する余り、家族制度が崩壊し、核家族化に以降した結果、人としての正しい生き方や、生きていくすべをも教えられないままに大人になってしまった弊害がここにあると思われます。米屋をしている私には、それがひしひし感じられます。米を中心とした日本食の復活と、一家揃っての食事機会を必ず一日一回持つことを実践していただきたいと思います。
今年はこの「ひとりごと」も思うように更新できませんでした。反省と共に新たな気持ちで新年を迎えたいと思います。一年間のご支援ご厚情に心から御礼申し上げ、来年もどうかよろしくお願い申し上げます。皆様もどうぞ良いお年をお迎えください。
写真・・・・・長野県飯山市福島の棚田での稲刈り。海外からの参加者も多く見られました。